楓荘

看板犬レノン。

CAFE BLOG

 

毎週、いや隔週でブログを頑張って書くといってから

数ヶ月。。。

 

今月末でカフェ楓荘は3周年

(ゲストハウスはそれより数ヶ月遅れのスタートです)

 

早くもあり、まだ3年しか経ってないの?と

 

30代に突入してからというもの

7〜8年間の記憶の時間軸がわからなくなってきます。

 

そして、30代の数年で人生の方向性がガラッと変わりました。

 

 

ここからは少し過去のことを遡ります

以前にも、少し触れてはいましたが楓荘に巡り会う前の

数年間のお話し

とくに看板犬のレノン達との出会いです

 

 

今から8年前、

 

30歳の時は、今とは違いまだ貿易会社をしていて

IT長者さんとかは抜きにして

同年代ではそこそこは稼いでいた方なのかなと思います。

 

 

レノンと出会ったのもその頃

まず最初の愛を知ります

愛情ですね。父性が出てきた頃です。

 

 

高校卒業後、上京し

キラキラした世界に居たくて

美容師を目指し(この頃カリスマブーム最盛期)

 

色々と諸事情はありましたが

結局のところ、自分に覚悟がなく辞めた

 

その後も東京でトータル10年彷徨い続け

 

父親に仕事を手伝って欲しいと連絡が来て

このまま東京に居ても、初心に抱いた理想像とはどんどんかけ離れていくと思い、それでも東京から出るのは何だか負けた感もあって

 

悩みに悩んだ結果

2010年から大阪に。

 

 

新年も早々に、これまで着たことがない作業着を着て

毎日朝早くから日が暮れるまで

多国籍の外国人たちと一緒になって

ホコリと油まみれになって

車を解体していました

 

 

それまで転職は数多くしていたけれど

肉体労働で、全くの畑違い

 

そして30歳を目前というのに

目標を見失い

 

ただ黙々と仕事をこなす日々

 

高校時代の友人達は大阪市内や和歌山市内にいてるんですが

僕が住み始めた場所は関空の近く

どちらに出向くにしてもふらっと行ける距離ではなく

また酒を飲まないので、それじゃ友人達を誘って飲みに出掛けようという気持ちにもなれず、ゲオで借りてきた映画を観るのが気分転換

 

恋愛コメディを観てはハハッと笑い

すぐさま虚しさに襲われ

 

このまま孤独でいることしか想像できないでいた

 

その頃、仕事の方はというと順調で

そろそろ法人化にしないといけないなぁという事もあり

行政書士さんとかに頼むとお金がかさむので

「誰でも簡単にできる会社のつくり方」という類の本を読みながら、定款とかなんやらかんやらをし、なんとか起業することはできた。

 

そして海外出張が多くなり

南国の異国の地でいると、刺激もあってこれは楽しいな。と

 

でも、やはりその楽しいというのはひとりで体感する事しかできず。あの当時はフェイスブックとミクシィの両方をしてて、SNSにこんな風にしてすごしてますよー!ってアピールをして自己満に浸ってました。

 

それも長くは続かず、ある時、滞在先のホテルのカフェで

僕の足元をチロチロと歩いて懐く犬が非常に可愛く

帰国してからも、その犬のことばかり

犬は好きだし、昔飼っていた事もあるけれど犬種なんて知らない。

 

ネットで

 

鼻ぺちゃ、ふわふわ、白

 

と検索をかけたら、パグやポメなどが表示される中で

やっと見つけたのが「ペキニーズ」

 

もうそこからはyoutube でペキニーズの動画を見まくったり

近所のペットショップに出向いたり

でもなかなかいてなくて

なおさら

 

 

頭の中はペキニーズ、ペキニーズ

 

 

近くにいないのなら、ネットで直接ブリーダーに問い合わせてみよう。と

 

そして見つけたのが北海道でペキニーズのブリーダーをされている方のサイトでした。

 

ちょうど子犬が産まれて、譲渡可能な2ヶ月目を迎えたとのこと

 

なになに、5匹産まれたが残るは1匹のみ

他の売れた子達は10万とか10数万とか

それでもペットショップに比べれば安いなぁ

残りの1匹はどうなんだろう

 

 

えっと、

 

一、十、百、千、マ、、ん??

 

千円!?!?

 

 

あれ千円で売られている。

表記間違いなのか、それとも病気を抱えた子なのか

すぐに問い合わせをしてみた。

僕は買い物などの問い合わせは

メッセージやメールをなるべく使わない

販売側からしたら面倒かもしれないが、例えば楽天とかでも問い合わせフォームを無視して、会社概要のところを見る。

そうすると会社の電話番号が記載されてるので掛ける

 

そして、電話をかけてみた

 

もしもし、あのネットをみたんですが

ペキニーズを探してて、それで1匹残ってる子

あの子の値段が千円って書いてたので、ひょっとしたら間違いなのかな?と思いまして。

 

「お問い合わせありがとうございます。はい、あの子は千円で販売しています」

 

なんか病気とかそういうのがあるのでしょうか?

 

「いえ、むしろ5匹の中では一番健康的でイタズラ好きなほど元気です。ただ色が、フォーンと言いまして他の子達と違い、真っ白だったり、黒だったりしていないので、この価格で販売させていただいてます。あとはそうですね、大事に育ててくれる方にお譲りしたいと思っています」

 

飼います!飼わせてください!僕、昔は実家で飼っていた犬が21年も長生きしました!大事にします!だから譲ってください!お願いいたします!

 

「わかりました。ただ北海道からですので空輸代が1万5千円ほどかかりますが」

 

全然大丈夫です!いますぐお振込してきます!いや、なんだか千円は申し訳ないので、この子は1万円お支払いします!

 

・・・とまぁ、興奮していたのもあり

すぐ家の前にあるATMに駆け込み支払いをした

 

そのあとしばらくしてから電話をし

入金の確認が取れたとのこと、明日送るので明後日には届くと思います。と言われた

 

やばい!明後日にはもう来る!

急いで近くのペットグッズが売ってあるお店に走った

 

店員さんにペキニーズを迎え入れるんです

これまで雑種で外で飼ってた経験はあるが

室内犬は初めてで、とにかく言われるがままのものを買いまくった。

 

帰宅してゲージを組み立て

ふかふかのクッションや毛布を敷き

餌やら、お水の道具やら

久々にワクワクしていた

 

そしてお迎えの当日

 

北海道から羽田乗り換えの関空

 

夜7時、車を走らせる

 

そもそもどこに荷物が届くのかわからない。

 

たしか、海外出張に行くときに第一ターミナルの端っこの方で、荷物を預けたり受け取ったりするところがあった記憶が。。。

 

とりあえず、皆さんがよく車で迎えに行く時に並んでいる

路肩に停めて、ダッシュでその場所に行く。

 

でも、そこではなく貨物のターミナルですと指示され

急いで車に戻る。

 

急ぐのには理由があって、ここは駐禁の切符が切られやすい

案の定、5分と経ってなかったが駐禁の黄色いシールがベタっと貼られていた。

 

これから迎えるのに幸先が悪いなぁ

 

駐禁代と空輸代合わせたら3万じゃないか・・・

 

 

まぁとにかく飛行機はとっくに着いてるのだから

早く迎えに行ってあげないと

 

いや、貨物のターミナル遠っ!!

 

業者しか来ないような

いかにも貨物置き場ですっていうところにつく。

受付のところも簡素で、え、こんなところにワンコいてるの?って。

 

受付の方に

『北海道から犬が届いてると思うんですけど』

「犬?犬ですか? 犬って届いてましたー?」

「あー着てますよー、これですこれ」

係りの方が持ってきたのは

セリアで売ってそうな小さなプラスチックのバスケット

(いやいや、そんな小さなものに犬は入らないでしょう)

『え?これに入ってるんですか?』

「はい、今日届いた犬ですとこちらです」

不審に思いながら、バスケットを手に取る

(軽っ!!)

片方の蓋を開けてみる

(いないっ!?)

『すみません!!犬が入ってないです!!』

「えーーっ!!そんなバカなはずは」

 

すると、、バスケットの奥の方から

キュンキュンと鳴き声が

 

え??

 

中を覗き込むと

 

想像以下に小さいペキニーズが震えながら鳴いてた

 

手続きをする前に抱き上げても良いですか?と言って

ワンコを抱き上げた

 

20数年分の封印されていた父性が

コーラにメントスを入れたぐらいドバドバと溢れ出てきて

 

もう、この子のために俺は頑張る!!

 

手続きを早々に済ませ、急ぎで家に戻った

 

そして準備しておいたゲージにこの子を入れてあげた

しばらく不安げにゲージの中を歩き回って

毛布におしっこをしてしまう

 

それも可愛い

 

昔の自分なら、ありえへんとキレてるところですが

 

もうパパなので、そんなのは気にしない。

 

そして僕を見つめて、ゲージの柵のところから必死に触れようとしてくる。

指を差し出すと、ずっとペロペロ舐めてきた

あかん、、可愛すぎる。

 

ふぅ、、

 

あ、名前どうしよ。

 

和名が良いかなぁ。

口の周りが黒いから、権三郎とか

でも結局はゴンって呼んでしまいそうだしなぁ。

あえてスーパーゴンざぶろう。

いや、意味がわからないか。

 

ヤフーニュースで、この日はジョン・レノンの命日だと載っていた。

 

なんか、この子の優しそうな感じからして

ジョン。って強いよなぁ。

レノン、あ、レノンが良いな。

響きも優しいし。

じゃぁレノンにしよ。

 

そして「レノン」との生活が始まりました。

 

 

ありがたいことに

たまたま、仕事が10日ほど休みだったので

ずっと家の中で一緒に過ごした。

 

というのもワクチンが終わるまでは外に出してはいけないとかなんとか言われたので。

 

初日の夜はゲージに入れて寝たのだけど、

夜中ずっとキュンキュンと鳴いてかわいそうで仕方なかった

 

次の日の夜も

またずっとキュンキュンと鳴いている。

これはあかん。

 

ゲージの扉を開けてあげた

 

ダッシュで僕のベッドによじ登ろうと必死だった

マットレスだけなのでそんなに高くはないんだけど

でも小さいから全然届かなくって

抱きかかえてベッドにあげてあげた

 

匂いをクンクン嗅いで

すぐ僕の枕にチョコンと乗った

それから安心したのかすぐに寝た。

 

僕の顔の横で、

僕の顔よりも小さなレノンが

安心仕切ってスヤスヤと寝ている

こんなにも平穏で満たされた気持ちは

いつ以来だろう

 

あ!

 

もし僕が寝てる間にベッドから落ちたらどうしよ

 

そう思って、もし落ちても平気なように

ベッドに沿わせて布団を敷いた

これなら落ちても登ってこれるよな。

 

翌朝、息苦しさと共に目覚めた

 

レノンが僕の顔に乗って寝てる

 

あかん、可愛すぎる

 

このような目覚めが数日続きました。

 

もう何をしてても可愛い

 

部屋を移動するたびに必死でついてくる

 

トイレやお風呂に入ろうものなら

扉の向こうからずっとキュンキュン鳴いてる。

 

なので外出せず

食事は買いだめしていたレトルトやカップ麺、もしくは宅配で済ませてました

 

 

あぁ〜〜仕事したくない。。

 

お留守番できるかなぁ

 

不安や怖さでどうかなったりしないかなぁ

 

もし仕事行ってる間に地震があったらどうしよう

 

ゲージを解放して部屋中は動き回れるようにしようか

いや、もしコンセントとかかじって感電したらいかんし

 

まだ仕事が再開する3日前から不安がハンパない

 

今、庭のテラスでこれを書いてるのですが

レノンは足元で寝転んでいる

 

あー〜ー平和。

と同時に押し寄せる不安

 

なんせ、今ランチどき

カフェ忙しくないんかい・・・

 

それでもレノンは、ゴロゴロとしている。

 

この子の魅力はそこなんだよな。

 

 

誰が来ても、マイペース

そして誰にでも触らせてあげる

何事も無関心、猫以上に

 

 

今でも思う。

 

レノンはウチに来て幸せなのかなぁ?って。

 

だってレノンはペットショップではなく

 

遠く離れた北海道

レノンの親、兄弟のいた家から

いきなり僕のものとに来た。

 

だから、ずっと思う

 

レノンが僕のところに来て幸せだった。

 

そうなれるようにしよう。

 

 

それは、イブちゃんもそう。

 

1月8日にイブちゃんを名古屋から里子として迎え入れた。

 

イブちゃんはペキニーズが沢山いるブリーダーさんが

里子に出していたのをネットで見て

カフェを休みにして、車で名古屋まで走って譲り受けに行った。

 

数日は、ずっと挙動不審で不安そうで

 

でも、レノンの優しい性格なのか

 

すぐにお互いが寄り添うように寝たり

そばにいるようになった。

 

まもなくして

レノンとイブの間に4匹の子犬が産まれた

 

予想外だった。

 

譲り受ける前に確認した時は

 

もし出産させるとしても時期は半年後になると言われてた。

 

イブはもともと繁殖用として飼われてた子だったから

過去に2度出産していたけど全て仔犬は譲渡されたらしい

 

イブの体力的な事も考え

もしレノンとの間に子供が生まれたら出産を最後にしよう

出産と同時に、避妊手術もしてもらおう。

そして家族一緒で過ごせるように

この子たち6匹を面倒見よう

 

そこからは大変でした。

なんせイブが来て2ヶ月後の3月27日に仔犬が産まれ

多頭飼いに慣れる暇もなく子育て

 

イブの体は小さいのでお乳が足りない

だから、カフェをやりながら数時間おきに

ミルクを温めて与えてあげ

体重も計る

それをノートに記録していく

 

みんな真っ黒だから、

カラーのゴム紐を色分けして

苦しくないように緩めに首に巻いてあげた。

 

カフェ営業中も気が気ではない

もしカラーゴムが変に締まってたらどうしよう?と

なんどもカフェと仔犬のいるところを行ったり来たり

 

営業後は餌やりと体重測定

そしてレノンの散歩

その後に買い出しに行き

合間に松屋などファーストフードで胃を満たし

戻ってきてからは、カフェの仕込みやゲストハウスのシーツ替えなど

 

春の繁忙期に入ってきていたので

 

ほんまにしんどかった。

 

 

それでも6匹の姿を見ていると

 

それ以上の癒しがあって乗り切れた

 

 

2ヶ月もすれば、やんちゃになって来て

いろんなコードをかじられたり

大事な書類はビリビリにされたり、所構わず用を足し

 

僕のベッドも登って来てはめちゃくちゃにされ

毎日シーツを交換するのがしんどくなって来て

学生が使うようなパイプのロフトベッドを買った

何が悲しくて、30代半ばを過ぎて

朝起きた時に天井に頭をぶつけるようなベッドで生活しなければならないんだろう

 

可愛さ以上に精神的に参ってしまいそうなことが続き

 

なんども譲渡した方が良いのかと悩んだ

平等に接してあげる時間も無いし

そもそも犬はそこまで家族としての認識なんて持ってるのか?と自分に都合の良いような考えばかり持つようになっていた

 

それでも、やっぱり僕がレノンに家族を与えてあげたいと自己満でイブを迎え入れ、出産をさせたのだから

 

それを自分がしんどいからと言って手放すのは

考えが甘すぎるよな、と踏みとどまった。

 

 

もちろん大変な事ばかりでは無い。

 

看板犬とはよく言ったもので

 

ワンコたち目当てに来てくれるお客様もいたし

 

何よりも、今の妻と娘が

最初にゲストハウスに宿泊しに来た際

 

この子たちと触れ合える事も理由の一つとしてあった。

 

だから、僕にもこうして家族ができたのも

 

この子たちが導いてくれたおかげ

 

 

そして僕は「愛」を手に入れた

 

ワンコたちも妻も娘たちも無条件で僕を愛してくれる。

もちろん僕も愛してる。

 

冒頭で書いてた頃の自分では決して手にいれられなかったと思う

 

 

ずっと、ズーーーっと一緒に皆んなで過ごせたら良いのに

 

 

でも、そうならなかったなぁ

 

やっぱり、これを書かないといけないのかな。

 

 

もうすぐ1年が経つのか

 

4匹の産まれた仔犬の中で唯一の女の子

miumiuちゃん

 

すごくお転婆で、ブリっ子で、食いしん坊で、怖がりで、僕にいつも甘えてくる、ザ・女の子!って感じの可愛い子でした

 

生後1年と半年以上が過ぎ

 

いつも通り、カフェを閉めて

夕方みんなで散歩に出かけた

 

まだ子犬だから、散歩中に人とすれ違ったりした時に

1匹が吠え出すと一斉にみんなで興奮して吠え出す

それもいつもの光景だった

 

でも、その時だけ

 

グフって変な音が聞こえた

 

ほら行くよ!ってリードを引っ張った

そうしたらmiumiuがグッタリと倒れてた

嫌な予感がした

駆け寄って抱き上げると

グッタリとしていて、意識が無い

もうそこからは無我夢中だった

とにかくミュウちゃん!ミュウちゃん!って必死で声をかけた

心臓マッサージみたいなのもした

一瞬、意識が戻った

でもまたすぐ意識をなくした

 

抱きかかえて家に帰り

 

日曜の夕方、開いてる動物病院がないかひたすら電話を掛けまくった

どこも留守電だった

何を吹き込んだか覚えてない

それぐらい動揺していたし、怖かった

何軒かのうち、一軒だけ折り返し電話をくれた

すぐに抱きかかえて車を走らせた

でも、日曜の夕方だから道が混んでて

いつも捕まらない信号になんども止められて

とにかくミュウちゃんは大丈夫!って大声で声をかけながら病院を目指した

 

ついて早々に診察してもらった。

 

でも手遅れだった。

 

涙は出ない

 

だって受け入れられてないから

 

ミュウちゃんと二人っきりにしてもらった

 

僕は震える手でミュウちゃんを撫でてあげた

するとミュウちゃんが動いてるように見えた

 

急いで先生を呼んだ

 

動いてます!って

 

でも違った。僕が震えた手で撫でてたから

その振動で動いてるように見えただけだった

 

そのときミュウちゃんが亡くなったんだと腑に落ちた

 

そして僕の感情が壊れたのか

 

涙と嗚咽が止まらなかった。他の急患の方たちが待合でいる気配を感じたけど

 

そんなの気にしてられないほど、泣きじゃくった

 

自分の不甲斐なさをこんなにも痛感したことはなかった

 

あの時、リードを引っ張らなければ

無理して散歩に出かけなければ

そもそも仔犬たちを産ませなければ

イブちゃんを迎え入れなければ

僕の勝手な思い上がりが

結果としてミュウちゃんを殺してしまった

僕がしてきた決断や行動の全てを憎んだ

 

ミュウちゃんを膝の上にのせ

帰宅した

 

心配そうな表情で妻と娘が出迎えてくれた

 

その時にまた自分の罪悪感に押し潰されて

 

泣いた

 

ミュウちゃんを死なせてしまって

ごめんなさい

 

って何度も何度も

 

ミュウちゃんごめんなさいって

 

泣いた叫んだ

 

でも泣いててもどうにもならない

 

最後まできちんと責任を持って送ってあげないと

ペットの葬儀屋の手配をして

2日後に火葬に来てくれることになった

 

僕はその晩、ミュウちゃんと一緒に過ごした

 

静かな夜、寝息が今にも聞こえてきそうな安らかな顔

 

やっぱりまだ信じられない

 

ほら、よくドラマや映画とかで

仮死状態だったのが急に息を吹き返したりするやないですか

 

だから僕は、もしかしたら目覚めるかもしれないから

その瞬間を見逃さないように側にずっといた

 

明け方、ひょっとしたら陽の光を浴びたら目覚めるかもしれない。そんな有り得ない事を本気で信じて

 

ミュウちゃんを抱っこして、ビーチまで歩いた。

 

11月の早朝は吐く息が白いほど凄く寒かった

澄んだ空気が朝日の光をより神々しくさせた

 

ほら、ミュウちゃん 太陽だよ

あったかいね。綺麗だね、ちゃんと目を開けて見てる?

 

優しい陽の光がほのかに暖かくって

そして何も変わらないミュウちゃんを見て

 

もう受け入れるしかないなって。

 

この優しい光に包まれてるから

きっとミュウちゃんは天国に行けるって思った

 

僕は都合の良い男だ

 

普段は無神論者で、神だのなんだの信じない

でも自分が辛い時とかにはすがりつく

 

だからこの時も神様がいるなら、

ミュウちゃんは誰よりも寂しがりやだから

どうか寂しくならないようにしてあげてください。

そうお願いした。

 

 

ビーチから戻る間もずっと話した。

 

仕事をしながらミルクをあげるのは大変だったんだよ。

ミュウちゃんは女の子だから、やっぱり自分の子供とか欲しかった?

もっとオヤツをたくさんあげれば良かったね。

今でもこれからもずっとミュウちゃんを愛してるからね。

 

11月4日

 

短すぎたミュウちゃんとの過ごした時間

そして気づかせてくれた愛以上の大事なものはないって事。

 

今でも、ふとミュウちゃんの事を考える時間がある

そんな時はすごく優しい自分に戻れる

そして今いる家族を大事にしようって思う。

 

レノンも、もう9歳を迎えた

もともと「てんかん」を持っていて

年に数回の発作を起こすことがある

 

つい先日も発作がでた

 

そのたびに焦らず、迅速に対応している

 

その時がきても大丈夫なように

そう言い聞かせながら

 

 

足元のレノンは少し姿勢を変え

僕の方を見ている

 

ったく、レノンはいつも何を考えてるんだか

 

本当に可愛くて参ってしまう。

 

なんかレノンの話からだいぶ長くなってしまいました。