楓荘

リアル・満州アヘンスクワッド 〜時空を越えて〜

OTHER

 

 

大好きな漫画  #満州アヘンスクワッド

を読んでいた時のこと

 

あるページを見た瞬間に

 

 

 

今から11年前

 

2011年9月の上海での

うだるような熱気にさらされた白昼夢のような記憶が一気に蘇り、、震えた。

 

 

 

この漫画に出てくるキャラクター

紅幇のボス《蘭玉 (ランユー)》

 

を見た瞬間

なんで知ってるのか?ただの偶然か?

 

原作者の門馬司 @kevinbacon23237 さんは

 

作画の鹿子さんは

 

 

あの方に出会ったのか?

 

 

 

 

 

【まず今回は楓荘とは一切関係のないブログになります。そして書き始めたのは1ヶ月ほど前の2022年11月末、そこからバタバタと忙しくなり、今続きを書いてるのは2022年12月29日】

 

 

2011年9月、主にフィリピン向けの車の輸出業をしていた僕はどこか違う国でも仕事がしたいと思い。

 

中国バブルと呼ばれていたのもあって

 

そうや上海に行ってみよう!と勢いで行ってみた。

 

 

とはいえ、上海でビジネスができないかと漠然とした思いで行ったのでそりゃ見つかるわけもないし、そもそも何をしたいのかさえも決めてない中でいったから、ただ気分転換がしたかっただけなのかもしれない。

 

 

結局、成果なく残りの数日は観光してた。

 

 

電車に乗り蘇州とかも行ったが

【蘇州市】

 

上海駅の切符の買い方が中国語のみで

道行く人に拙い英語で話しかけても誰も相手にしてくれず

 

何よりも物凄い人の多さ。

新宿駅や渋谷駅とは比較にならない。

一箇所にありえないほどの人が並んでいる。

【上海駅】

 

 

まぁ電車がとにかくしんどくなり

 

 

ほぼ残りの日数は、上海人民公園を朝ジョギングをして

 

 

昼前に上海金門大酒店(上海人民公園前ホテル)を出て

【上海金門大酒店】

 

 

南京ロードを歩いて外灘(ワイタン)まで抜けるお決まりのコースになってた。

 

南京ロード

 

外灘(ワイタン)

 

 

残り2日前

 

(ホンマはもう少し滞在予定だったが地元が水害にあったと姉から連絡が来て、翌日帰国)

 

いつものように南京ロードを歩いてると

 

 

 

前から若い女性が中国語で声を掛けてきた。

 

中国語は全くわからないジェスチャーをすると

今度は英語で伝えてきた。

 

 

どうやら上海ではない都市から来て(どこか忘れた)

 

友達と上海美術館で待ち合わせしてるけど時間がまだまだあるから、良かったら一緒にランチをしない?と誘われた

 

 

普通に考えれば、妙な展開だし、怪しい。放っておく。

 

 

でも僕は一人で海外に行くと、あえて裏路地を歩いたり、人に話しかけたりする。

 

うだるような暑さの中で、それもものすごい人混みの中から僕に声をかけてきた。

 

 

熱気にさらされたせいなのか

いつもの悪い癖が出てきた。

 

 

 

何か平凡じゃない経験をしたい。

 

 

 

幼い頃から僕の行動力を焚きつけるのは

 

多少のヒリヒリ感があるといいなと思ってしまうこと。

 

 

何も全て危険な事に遭遇したいわけじゃなく

 

なんか他者とは心の震えるポイントがズレていて

 

他の人からしたら、何の興味もないようなことに好奇心を抱いてしまう。逆も然り、僕は全く動じないことで他者は感動することもある。

 

 

きっと天邪鬼である。

 

 

好奇心という事で、本題からそれるが

20代前半、美容師を辞めて色んな仕事を転々としてた頃に

久々に美容学校時代の友達と会い、

 

 

センスあるから写真でもやってみたら?と

 

 

 

中古のフィルムカメラをもらった。

 

 

大雪が降った東京の深夜、そのカメラを持って

 

ひたすら雪の街をシャッターを切った。

 

すぐさま現像屋さんに出して

 

自分で撮った写真なのに、ものすごく感動した。

 

自分の好きな映画の場面に似てる。

 

 

 

もっと世界観を写し出したい。

 

 

その欲求は食欲とか睡眠欲とかあらゆる欲よりも大きくて

 

 

腹さえ満たせたらいいやと

米を炊いて、カバンに水筒と握り飯を入れ

毎日どこ行くにもカメラを手にしてひたすら街や人など撮り続けた。

 

 

 

高所恐怖症なのに、

レンズを通すとアドレナリンのせいなのか

不思議とビルの屋上とか平気で行けてしまう。

何よりもこの構図で撮りたいが優先。

 

 

が故に、トラブルも多々あったりした。

 

 

 

とにかく好奇心を抑えられないのだ。

 

 

 

 

そういう性分のせいで

 

話しを戻しますが

 

 

前から歩いてきた若い女性に声を掛けられ

食事に誘われたものの、断ってこのまま帰国まで退屈すぎる

 

 

もし何か変なことがあっても、後でエピソードトークの一つにでもなればいいか。

と誘いに乗ることにした

 

 

 

と、それに前日に若いカップルたちとの良い出会いもあったのも誘いに乗った理由の一つでもある。

 

 

 

この若い女性と出会う前日、

 

 

外灘(ワイタン)をぶらぶら歩いていると

 

記念写真を撮ってる若いカップルがいた。

 

 

暇だったし、人と会話したい気分になってたから

 

 

 

「良ければツーショットを撮ってあげようか?」

 

 

と声を掛けた。

 

写真を撮ってあげて、少し会話をしてたら

西安から来たという純朴そうなこの若いカップルは、

 

 

このあと中国茶の専門店に行くけど

もし時間があるなら一緒に行かない?と誘ってくれた。

 

 

あからさまな観光地に飽きてたから一緒に行った。

 

たくさんの中国茶葉の缶や瓶が並ぶ店内の奥に案内され

 

中国茶の飲み方の作法や歴史の教えを受けた後、

美味しい中国茶とお菓子を頂いた。

 

 

お世辞にも良い空気とは言えない上海の猥雑なごみごみとした中心地にありながら、路地を一歩裏に入ったところにあるお店。

 

外の喧騒とは遮断された粛々とした雰囲気。

 

 

 

茶葉の香りと、優しい人たちに囲まれてとてもリラックスできた。

 

 

お店を出るときに、僕も記念に茶葉の一つでも買おうかなと思ったら、その若いカップル(確か高校生)が

 

 

茶器一式と、そのお店でもめちゃくちゃ高い茶葉を僕にプレゼントしてくれた。

 

 

いやいやいや、こんな素敵なところに連れてきてもらって

むしろコチラがお礼をしたいぐらいなのに

 

 

そのカップルはすでに会計を済ませたから受け取ってほしいという。

 

 

よーく見ると、確かに高校生とは言え

 

 

このカップルが身につけているものは、無地なパーカはパーカだけど、ハイブランドの服や時計たち、ヴィンテージのカメラ、最新のスマホにタブレット。

 

 

(あぁ、お金持ちの子達なんだ、多分日本人の感覚のお金持ちとは桁が違う。。。)

 

 

 

でも当時30歳の男が、こんな年下の子たちから物をもらうのは情けない。リュックに入れてた日本から持ってきたスナック菓子をあげた。

 

 

彼らはそのスナック菓子を見て屈託なく喜んでくれて。

心も裕福なんだなぁと思った。

 

 

他にも一緒に行こうと誘われたけど、

なんだかこれ以上お邪魔するのも悪いし

まさかだが、また何かプレゼントとかされたら困ると思い、予定があるからと丁重にお断りして別れた。

 

 

 

またまた話は戻って、、

 

 

 

そう。そういう出会いが前日にあったものだから

 

 

二日連続で、面白い体験になるのでは?と

 

 

 

それに上海にきて困ったのは食事でもあった。

 

 

僕は割となんでも食べれそうでいて、偏食だったりするから

 

 

上海でも、東京で知り合った方に

日本人が多くいる日本人街みたいなところの居酒屋に連れて行ってもらったところ以外

 

 

自分ひとりで入ったお店はことごとく舌に合わなかった。

 

 

 

だから食事の店選びがめんどくさかったのもあり

コンビニとかで買ったり、有名なファーストフード店で済ますことが多かった

 

 

この女性が言うには

美味しい火鍋屋さんがあるというから

 

 

まだ火鍋は食べたことなかったからちょうど良いかなと

 

誘われるがままついていった。

 

 

 

南京路の店舗が入ってる沢山のビルの店先にはそれぞれランチのメニューが色々と並んでいた。

 

 

その女性は、ここは美味しいし食べ放題だよと言った。

 

 

(地元じゃないのに、よくこんなピンポイントで知ってるなぁ)と疑問はよぎったが。

 

まぁ気にしても仕方ないので入る。

 

 

 

たぶん、僕はこの時に何かパラレルワールドの扉を開けてしまったんだと思う

 

 

 

 

ビルに入ってすぐエレベーターに乗り

何階だったか忘れたがやたら高い階層までいった。

 

 

扉が開くと、ちょっとした空間の先にガラスの壁があって

いわゆるチェーン店みたいな雰囲気の火鍋屋さんがワンフロアを占めてる。

 

 

12時のお昼時真っ只中なのに、客が誰もいない。

 

人気じゃないのか?

それとも中国の人は火鍋とかいつでも食べれるから外国人向けなのか?

 

それにしてもお客さんがいないな。

 

お客さんかな?と思いきや、多分あれは賄いを食べてるスタッフかなんかだろう。

 

 

 

もちろん僕は火鍋食べ放題のコースを選んだ。2人前。

 

 

まぁたしかに安かったので、ここは僕が奢るよと言った。

 

 

 

しばらくして火鍋が運ばれてきて、しゃぶしゃぶ。

 

(うん、味は日本のチェーン店のしゃぶしゃぶ屋さんみたいな味かな。かなり辛いけど)

 

 

ところが、目の前に座るこの若い女性は一切箸をつけない。

 

 

その代わり、紹興酒のショットをひたすら飲んでいる。

 

 

なんで食べないの?と聞くと

 

なんか急に食欲がなくなったらしい。

 

 

それにしても、もう何杯目!?

その紹興酒のショット。

 

 

いくらお酒に強い人なのかもしれないが、テーブルに並んだ空のショットグラスの数が12個。。

 

 

ひと目でもわかるぐらい、グデングデンに酔っ払ってる。

13杯目を頼もうとした時に、

いやこれ以上はやめとき!と止めたが、もうかなり泥酔でロレツも回ってなく、まだ飲む!と言ってるようだ。

 

 

でも、1時間後に美術館で友達と待ち合わせなんやったら

もうヤバいっしょと思い。

 

 

店員さんを呼んでお会計してくれと頼んだ。

 

 

 

確か、食べ飲み放題で一人200元だったかな。

だから400元で、まぁ4千500円ぐらいかなぁ。

 

 

 

 

店員が持ってきた伝票を見ると

 

13,300円!!!!!!!!!

 

 

一瞬、日本円で読んでしまった。

 

 

いや、日本円でも高いやろ。

 

 

13,300元である。

 

頭が混乱して、スマホすぐ元のレートを確認する

 

 

やば、16万円、、、

 

 

 

いやいやいやいやいや、

頭が真っ白になりそうになったが

 

目の前には酒でブッ飛んでしまっている女性。

 

 

僕までブッ飛んでしまうと終わる。

 

 

 

店員さんを読んだ。

 

 

 

僕はメニューブックを見せながら必死で伝える。

 

店員は英語なんてわからないという素振り

 

だからと言って素直に払える額でもない

 

 

1人200元て書いてるよね!?

で、二人だから400元!

 

 

と身振り手振りと、メモ帳に数字を書いたりして必死で説明

 

 

困り果てた顔の店員はちょっと待ってと言ったのか、

店の奥の方に行った。

 

 

 

しばらくして、黒のスーツに身を固めたあからさまなゴツい二人組がきた。

 

(あくまでもイメージです)

 

 

男は言う。

 

英語で。

 

たしかに火鍋の食べ放題、飲み放題はひとり200元。

 

 

だが、彼女が飲んだ紹興酒はプレミアもので

飲み放題ではない。

 

 

彼女が飲んだのはこれだと指をさす。

 

 

 

メニューブックの最後のページには、

チェーン店のようなポップなメニューにそぐわない

金額が記載されてた。

 

 

 

1杯700元、、、、、

1杯8500円ぐらい

 

 

てことは、掛ける12で8400元

 

 

 

こうなってくると理性がどうとか関係あらへん!

 

 

目の前でうつらうつら、うーんと唸りながら

船を漕いでる女性に

 

 

おい!!起きろ!!!

(HEY!!Wake UP!!)

 

 

 

何がうーん、、やねん!

 

 

とりあえず目を開けろ!!

 

 

何度も叫ぶ

 

 

ようやく首がすわり始めた女性は

こっちを向いて、どうしたの?と

 

 

コレ、これな!?よく見ろよ!
あなたが火鍋を食べようと言った!
僕はOKと言った!

 

そして火鍋を2人前頼んだ!OK??アンダースタン!?
でも、このお酒は僕は知らない!!
火鍋二人分は僕が支払う!
だけど、お酒はあなたが払ってくれ!

 

 

もうこうなると、

 

 

昨日出会った良いカップルの記憶は薄れ始め

 

 

南京ロードで隅田川花火大会みたいな人混みの中

 

 

退屈という道をとぼとぼ歩いている僕に

 

 

爽やかな笑顔で声をかけてきた

陽気な天使から

 

 

だんだんと醜い悪魔に見えてくる。

 

 

 

(何が美術館で待ち合わせだ。)

 

 

(お前には美術を鑑賞する目は持ってない!)

 

 

 

と僕の心の奥にあるドス黒い感情が沸騰している

 

 

 

あろうことかこの女性

 

 

お金を持ってないと言い始める。

 

はぁ!!??それならカードは!?

 

 

カードも持ってない。

 

 

(ようそれで上海まで出てきて優雅にランチして、友達と美術館てなるな!いや、やっぱりお前は美術を見るな!)

 

 

 

理性は消え、防衛本能の野生が剥き出し

 

 

それはそうだ、

異国の地で屈強な黒スーツの男に囲まれ

 

 

目の前には、もうどの国の言葉も通じないであろうグデングデンの女性

 

 

さらに、僕は現金5,000元しか持ってない。

いつものルートではそれ以上使うこともないし、

変に財布を持ち歩くのも嫌だから。

 

 

男たちは

女性がお金がないと言ってるんだから

お前が払えと言ってくる。

 

 

僕は僕で払いたくても、

13,300元は持ってない!!

とポケットから5000元とスマホだけを取り出して見せる

 

 

男たちは足りないと言う。

 

あーそうだよ足りないよ!

 

どう脅そうが、無いものは無い!と言う

 

 

それならカードを取ってこいと言うかと思ったかが

多分取りに帰ってそのまま逃げられるのも困ったのか

あるいは一緒に取りに行くほどまでではないと思ったのか。

 

 

5000元を置いていけ、それで帰してやると言われた。

 

 

 

はぁ!?余計に腹が立った

 

 

 

それなら、俺が400元しか持ってなかったら400元で済んだのか!?と強く、そして最もらしく言い返したいが

 

 

流石にそこまで語学能力がないの悔しい!!!!

 

 

 

それとこの酔っ払った女性を連れ出してくれと言われた。

 

 

 

多分これ以上粘ったところで何も変わらない空気。

 

 

渋々の渋々、5000元をテーブルに置き

 

 

グデングデンの悪魔を担ぎながら、店を出る。

 

 

 

来る時と同じエレベーターに乗ろうと思ったら

 

 

その黒スーツの男たちが店は営業時間が終わったから

 

こっちから帰れと別のエレベーターを案内される。

 

1階につき、摘み出されるように外に出た。

 

 

 

そこは南京ロードのメインとは違う、ビルの裏口。

 

 

とりあえず座れそうなところまで女性を連れて行き

 

 

水を買って、飲ませた。

 

 

(水代ぐらいはあるだろうと思い、財布を借りたら、いやコイツふつーに金持ってるやんか。)

 

 

 

それからしばらくそこで座ってた。

 

 

少し寝たからか、

ひどい二日酔いのような頭痛そうな表情をしながらも、

多少は会話ができるようになった。

 

 

 

なぁ、僕は見ず知らずのあなたと食事をして5000元も払った。

 

 

あなたはお金がないと言ったが、さっき水を買う時に財布を見たらお金を持ってたじゃないか!

 

 

 

女性はなんのことかわからないという表情をする

 

 

 

あ、

 

 

 

 

ここに来てようやく僕も気づいた。

これアレだ、ぼったくりバーとかのやつだ。

 

 

海外だから、そんな思考はなかった。

 

 

前日に爽やかなカップルと会ったこともあり、そんな人を悪く見るような思考が消えてたんだ。

 

 

となると、

あの黒スーツの男や、すっとボケた店員に腹が立ってきた。

 

 

全員がグルか。

 

 

 

女性は、じゃぁ私は友達と美術館の待ち合わせがあるから行くね、と言った。

 

 

え、そこはホンマなんかい!!

 

 

悔しいという小さな種火だったが

思い出すたびに「許せない」火種が足されていき

怒りの焚き火に変化し

 

 

その女性の手を引いて

 

もう一回、あのビルに行くぞ!と言った。

 

 

お金を返してもらわないと、たとえ返してくれなくても

 

 

こんなんに騙された自分が許せず

何よりもなんとかして言い返したい気持ちが収まらなくなってしまった。

 

 

先ほどのビルの裏口手前まで女性を引っ張ってきたが

 

 

入口の扉を開けようと手を離した隙に女性は、よろつきながらも走って逃げていった。

 

 

追いかけるのも面倒なぐらい、1秒でも早くアイツらに言い返したい!っていう気持ちが強く

 

 

そのままエレベーターに乗った。

 

 

火鍋屋の階につき、扉が開いた

 

 

確かに営業時間が終わったと言ってたとはいえ

 

こんなにも人気(ひとけ)が無くなるか?と言うほど灯りも消え薄暗くシーーーーンとしていた。

 

すると、エレベーターを出て右手側のお客さんが待ったりするスペースみたいなところに

 

ヘヴィメタル界の大御所オジー・オズボーンの家族との様子を映したリアリティ番組「オズボーンズ」に出てくる(これもググると出てきます)

娘と息子にそっくりな、髪を緑やピンクに染めた

いかにもボンボンの子供っぽい子達が任天堂DSかプレステかわからないけど、ゲームをしていた。

 

僕はまずその子達にハローと声を掛けたが

 

これまたボンボンの子供らしさ全開の憎たらしい

 

相手を侮蔑するような目で僕をチラ見するだけで、すぐゲームに夢中になっていた。

 

 

とりあえず、誰か大人が出てこないと意味がないので

 

 

へい! へい!!ハロー!!ニイハオー!と叫んだ

 

 

さっきとは別の黒スーツの男たちが

 

めんどくさそうな顔しながら近寄ってきた

 

 

なんだ?なんのようだ?と冷静な口調で言われた

(さっきとは別の男達だから単純に何の用事か聞いただけなのかもしれないけど・・・)

 

 

急に血の気が引いた。

今思うと、たぶんそういう扱いに慣れてるんやろう。

 

 

 

こっちが感情露わに来たところを冷静に対応する。

そうなると僕らみたいなものがどういう風になるのか。

 

 

そして、僕はそうなった。

 

 

うわ、俺アホや。

 

 

一人で、それも海外、中国で。

 

 

絶対にこの人ら、カタギちゃうやん。

もしここで拉致されたり、殺されても、誰にも知られないままや。

 

でも、子供らがいてる前でそんなことするか?

 

て、子供ー!! もういてないやん。

 

 

怒りなんて焚き火は、恐怖心ていう冷や水を浴びせられると一瞬で消える。

 

後はただ仄暗い、得体の知れない事が起きそうと想像すると

真夏なのに全身が寒くなってくる。

 

 

でも、知ってる。

こういう事って過去に何度か経験した。

失敗したこともあった。

 

高2の花火大会の日

帰り支度の駅で地元の先輩に理不尽な理由で絡まれボコボコにされた

(友人は果敢にも反抗したが、僕は早くこの場が過ぎ去ってほしくて、めちゃくちゃ痛いふりをして倒れ込んだ、いまだにその時の友人には卑怯な男と認識されている)

 

これもまた高2の冬(高2はなんせ色んな事に巻き込まれストレスからか急性胃腸炎に何度もなった)

 

年下の不良たちに家を一晩中囲まれることもあった。

 

 

前半にも触れたように

カメラを手にした僕は本当にどんな場所でもカメラを構えてシャッターを切りまくってた。

 

 

六本木の路上で黒人たちにボコボコにされたり

 

 

新宿の風林会館前で男たちに囲まれた時もあった。

 

 

(20代前半の頃は特にストリートスナップを撮るのが好きで、たまたま路上をスケーターが走ってるのを撮ってたつもりが

ファインダーを向けた遠く先で黒人が何やらヤバいものを取引しているところだったり、風林会館前では撮ってはいけない人を偶然にも撮ってしまったり,,,,,,,,それも後にブログで書きます。)

 

 

 

そう、すべては自ら引き起こしたことだけど

 

 

多少のダメージはあったりもするが

なんだかんだと助けられたり、逃げてこられた。

 

 

根拠もへったくれもない過去の遺産が

今回も無事に帰れるという淡い火で

少しだけ体温を取り戻してた時

 

 

その黒服の男たちに、両肩を掴まれて

 

エレベーターに乗せられた。

もちろん、下に降ろして帰すわけでもなく

押したボタンは最上階。

 

あぁ、いままでなんとか乗り越えてきたのも

今回で終わったな。

 

 

(そういえば、毎回怖い思いをする時は

その時は不安で一杯で

後で笑い話になれば、、とかなんていうのは後日になってからだったな。

 

なんで毎回、事態が起こってから気づくんだろう。たぶん、身内とか近しい知人には知らせずに上海に来たから、きっとここで最悪な事態になったとして、気づかれるのはいつのことか。。。)

 

 

 

声は出ないけど、頭では色々と言葉が出てくる。

 

 

エレベーターの扉が開いた。

 

 

別世界。

いや、異空間。

 

お香なのかスモークがかり

エレベーターから簾のようなものが掛かった扉までの距離感が掴めない。

 

ひょっとしたらスモークがかったというのも

 

僕が感じたイメージがそう記憶に残してしまっただけで

実際には普通の空間なのかもしれないが

 

なんとも得体がしれない空気にただただ圧倒され

 

そしてその簾(すだれ)の奥向こうにうっすらと椅子があり

 

そこに鎮座する老婆が見えた、

 

深紅のチャイナ服のようなものを身に纏い、そのレースのような薄い布を肩からかけ、瞳が見えない真っ黒の丸いメガネをかけていた。

 

 

これまでの話が長かったので思い出してほしいのですが

この老婆こそが今回のブログで伝えたかった本題であり

冒頭で書いた

 

漫画「満州アヘンスクワッド」に登場する

 

 

紅幇のボス《蘭玉(ランユー)》

 

 

そのものだった、

 

 

もちろん、漫画に出てくる蘭玉は若い

 

 

そして目の前にいるのは老婆なので

見た目は全く違うと言えば違う。

 

 

では、なぜ僕はこの老婆を蘭玉と言うのか。

 

11年も前の記憶が甦るほどなのか

 

 

 

それは、漫画を見て頂いた方ならわかるのですが

 

全身に入った刺青(タトゥー)と衣装。

 

 

いくら記憶力が良い方だと自負する僕でも刺青の柄まではハッキリとは覚えていないけれど、ハッとした。

 

 

僕は男たちに老婆の前まで連れて行かれた。

 

 

その老婆は中国語で、男たちに下がれと言ったのか

 

僕の両肩から手を離し、部屋から出ていった。

 

 

そして老婆はキセルのようなもので

 

隣の空いた椅子に座るように指示した。

 

 

本来なら屈強な男たちがその場から消え

 

この空間には僕と老婆しかいないので

 

 

少し安堵するところかもしれないが

 

 

いやいや、いやいやいや、、

 

 

迫力で言うならば、モブですよさっきの黒服の男達は

 

ラスボス感が半端ない。

 

隣の席に座るように指示された瞬間に背筋がピンと張り

 

まるで軍隊の行進のようにキビキビと椅子まで歩き

 

本当に座ってよいのかどうかドギマギしていると

 

 

またキセルで、座りなさいという動作で指示をされて

 

椅子に座った。

 

さっきまで男達に両肩で連れてこられてたのもあったし

緊張やら恐怖でフワフワとした絨毯の上を歩いてるのか歩いてないのかよくわかんなかったから

 

 

腰掛けた瞬間に久々に重力を感じた、いやもっとか

全身が鉛のように重く感じ、椅子にズシンと座った。

 

 

僕の左隣に座る老婆をチラッと見る。

 

右肩から右腕、右手首にかけて龍なのか蛇なのかわからないけどトグロを巻くような刺青。もちろんそれだけじゃなく、全身に入ってる。

 

真横に並んで座ってるので

 

しばらく沈黙が続いている間も目が泳ぎっぱなし、最初は怖くて首から上に目線を向けることはできなかったけど

 

どんな表情をしているのか気になり、横からな真っ黒なメガネの裏にある眼が見えるのではないかと思い

 

視線を顔に向けた。

 

 

真っ黒なメガネの裏には目があるはず。あるはずだし見たはずなんだけど

 

今思い出そうにも僕の記憶が

メガネの裏の目の周りが真っ暗(真っ黒ではなく真っ暗)で表情がわからない。

 

それに顔にも刺青と、深く入った沢山の皺。

 

どう説明すればこれを読んでくれた方が想像しやすいか

 

 

世界的人気アニメ「AKIRA」に出てくるミヤコ教のミヤコ様をげっそりさせた感じです(ググってみてください)

 

そのミヤコ様に迫力を100倍かけたような感じです。

 

 

こちらの視線に気付いたのかわからないけど

 

少し顔をこちらに向けて来た

 

背筋が凍った。蛇に睨まれる蛙そのもの。

 

 

中国語で何か喋りかけてきた。

 

が、僕は全くわからないのでどうしようと思い

 

拙い英語で返して気分を害されるのも怖いので

 

 

「すみません、中国語がわからないです」

 

 

と日本語で返した。

 

 

瞬間に、グイッと顔をこちらに近づけてきた

 

 

ァッ と思わず声を出してしまった。

 

すると老婆の口から

 

「オマエハ ニホンジンカイ?」

 

と日本語を発してきた。

 

思ってもみないとはこの事で、

 

あまりの意表を突いたセリフに

 

アッ!と今度はさっきよりも大きく声を出してしまった。

 

すぐさま姿勢を正し

 

「はい、日本人です。」

 

 

しばらく沈黙。。。。。

 

 

 

「ワタシハ ニホンジンニ トテモ オンガアル」

 

「ズット ムカシ ワタシガ ワカイトキ」

 

そう言って、またしばらく黙った。。

 

人間というのは、たしか数分か何かで恐怖に順応すると聞いたことがある。そのせいかわからないけど

 

僕も普通の口調で老婆に話しかけてしまった

 

 

「昔、日本に居たのですか?」

 

違うともそうとも言わない

 

「何か助けてもらったことがあるんですか?」

 

また無反応。

 

 

どうしよ、この空気。

 

 

体感ではこの部屋に来てから30分以上は経ってるような気がする。

 

たぶん、何かされることはないんだろうなと思いはじめ

 

「恩があるというのは、昔、辛いことがあったんですね?」

 

と調子乗ったことを聞いた瞬間に

 

姿勢は正面を向いたままなんだけど

 

オーラというか、なんつーか威圧感が

 

顔をグイッとこっちに向けてきて

真っ黒のメガネでもハッキリと見えるぐらい

 

メガネの裏の目を見開いてコッチを見てる感がビシビシ感じた。あくまでも老婆の姿勢は隣の僕ではなく正面を向いたままなので実際にはありえないんだけど、それぐらいの体圧があった。

 

 

瞬時に、また恐怖が襲ってきた。

 

 

(あかん、完全にシクった!余計なことを言った)

 

 

「ワタシハ ニホンジンニ オンガエシ ガ シタイ」

 

 

と一言

 

 

老婆から僕に向けて手がすぅーっと伸びてきて

 

それに反応するように僕も手を出したら

 

 

なんか紙の感触があった。

 

 

(あ、お金や。いくらかわからんけど、お金や)

 

 

「フベン ヲ カケタ ワタシノ ミセデ ハズカシイコトヲ シテシマッタ」

 

※老婆の言葉をカタカナ表記にしているのは、あくまでも読み手側に分かりやすくしてるためであって、実際にはぎこちないカタコトではなく、おばあちゃんと話すぐらいの流暢な日本語でした。

 

 

ひとまずは借り(お金)を戻したからなのか

 

 

さっきまであった緊張感、威圧感とかオーラが消え

 

 

隣に座っているのは、品の良いおばあちゃんだ。(刺青だらけとか外見の事でなく、内面から出てくる品の良さ)

 

 

 

僕も緊張の糸がとけ、あと日本語が上手なのもあって

 

持ち前の厚かましさから、色々とお話を伺った。

 

 

まず今回の僕のようなぼったくりみたいなケースはよくあることだそうで

 

何も知らない観光客らしき人に声を掛けて

飲み屋さんだったり一緒に入り、女性はしこたま高いお酒だけを飲み、カモられた僕みたいな奴に高額な請求をする

 

ただお店とその仕掛けする女性は関わりがあるわけではなく

 

特定の店とかじゃなくて

 

高額請求を支払ってもらった内から幾らかを女性に渡すらしい。

 

 

老婆は、自分の店ではそういうことはしたくないそうだが

 

黒服の男達のように部下なのかわからないけど、そういった下についてる者が勝手にしているそうで、

 

最初に僕に高額請求をしてきた男は、すでに辞めさせたそうでした。(被害者側だが、なんだか申し訳ない気持ちになる)

 

老婆は、言う。

 

生きていくためには、どんなことでもする。

 

だから今回の僕のように引っ掛けた女性や、請求をした男達にも生きていくため、お金を稼ぐための手段。モラルとか言えるのは、余裕のあるところで育った人。もちろん人を騙そうとするのは良くないが、手段としてこういう事をしてしまう世界があるのも仕方ない、と。

 

それと上海の街は良くも悪くも変わった。

そもそも上海は変わり続ける街で、時代に生き残ってくことが大変だったこと。

 

瞳が見えないけど、話している最中は過去を見つめていたのかな。口調でわかる。懐かしさや侘しさの混じった声。

 

 

結局、どんな風に過去に日本人に恩を受けたのかは教えてもらえないままだったけど

 

 

最初に感じた物凄い威圧感やオーラとかなくって

今ではむしろこの老婆に対して親しみと尊敬の念を覚える。

 

大物というのは、きっとこういう人なんだろうな。

 

味方と思えるとこんなにも頼もしくもみえ、忠義を持ってしまう。反対に敵対すると一番怖い存在。

 

 

 

あっという間の時間だった。

 

 

訥々と話す老婆の物語に僕もその時代をタイムスリップした気分だった。

時に胸に刺さるような苦しさや、上昇気流に乗っているような高揚感、感情の隆起が激し過ぎて、乗り物酔いしたような、ふわふわとしている。

 

 

僕がもっと話しを聞きたいと思った時、

 

それを察したのか、急に冷めた声で「帰りなさい」と言った。

 

 

僕の悪い癖でもある、期待感を持ってしまうこと。

 

何かもっと面白い経験になるという欲を

きっと老婆は感じたのだろう。

 

そういう、相手が放つ好奇を嫌いサラッとかわす。

 

 

すごいことを成し遂げて来た人に度々お会いする機会があるが、必ずと言って良いほど、相手の欲深い気持ちを瞬時に読み取り、流す。

 

 

 

しまった。

 

 

 

本当に僕は交渉とか下手。まぁ今回のような場合に「交渉」という言葉は違うんですが

 

 

老婆との対談もこれで終了。

 

 

呼んだわけでもないのに、どの瞬間に他人にはわからない合図でもあったのか、黒服の男達がまたやってきて

 

 

席を立ち帰るように促される。

 

 

今回はさすがに両肩を掴まれることなく帰されたが

 

エレベーターの手前でふと振り返る。

 

 

老婆が鎮座している。

 

 

相変わらずどこを見ているのかもわからないが

 

 

たしかに壮絶な歴史を生きてきた人物がそこに鎮座していた。

 

 

 

エレベーターを降りると、南京街の裏路地で、気のせいか

さっき入って来たところとはまた別の裏口に感じた。

 

 

振り返ると、もうエレベーターの扉は閉まり

 

そこにいるのは、呆然とたつ僕だけ。

 

 

 

さっき、酔い潰れた女性が座ったところまで歩き

腰掛ける。

 

 

 

(なんやったんやろ。)

 

 

 

僕はこの日起きた出来事を始まりから今こうして座っているまでを時間にして2時間あるかどうかの出来事を

 

 

改めて整理しようと思い返すほど

どんどんと記憶から消えていきそうで怖くなり。

 

スマホのメモに箇条書きで、起きた事、感じたこと、見たものを打ち殴った

 

 

どのくらい時間が経ったのか。

 

 

気づけば夕暮れ時になっていた。

 

 

食欲もなく、ホテルまで歩いて帰った。

 

 

部屋のベッドに横たわり

あの出来事以上の衝動にかられるはずもなく

 

シャワーを浴びる、ものを食べる、そういう行動を起こす気力も湧いてこない

 

でも妙な気怠さと脳が酷く疲れていた。

 

翌日、帰国することだけは忘れないでおこうと思い眠りについた。

 

 

 

翌朝、また公園をジョギングをして、朝ごはんを食べ

 

チェックアウトの時間から夕方の飛行機まで時間が無駄にあるなぁと思いながら荷物を整理していた。

 

 

そうそう若いカップルに茶器を貰ったんだよなぁ。

 

蘇州でなぜかLiLiCoさんが居たなぁ、多分プライベートで知り合い達と旅行来てたのか、めっちゃ熱心にガイドさんの話しを聞いてたなぁ、、

 

など、これまでの数日を思い出しながら片付けてると

 

 

 

昨日履いてたズボンのポケットからお金が出てきた。

 

 

 

あ!

 

 

ブワッ!と前日の出来事がフラッシュバックした。

 

 

あんなにすごい出来事だったのに、忘れてた。

 

 

むしろ現実ではない映画みたいな経験だったから

夢だったかのようで

 

 

そういえば、あの時は手渡されて見もせずにポケットに突っ込んだけどいくらなんやろ。

 

 

20,000元!?

(約25万円)

 

 

いや、増えとるがな。

 

 

そりゃそうか、あれぐらいの人になると

実際の金額とかは知らされてないのかもしれないし

 

知ったところで、キッチリその額を渡すなんて野暮なことはしない。

 

たまたま近くにあった現金を渡したぐらいなんだろう。

 

 

んで、そのたまたま近くにあった現金だとしても

 

僕が被害を受けた額よりは少ないとは思ってないだろうと。

 

 

 

それにしても、実際に支払った額は5000元

 

15000元も多くってのはもらい過ぎやよな

 

 

このまま帰るのはなんだか居心地悪い。

 

それに

もう一度あの老婆に会ってみたい気持ちがあった。

 

 

きっとお金なんか返そうとしたら「要らない」と跳ね返させるだろう。

そんなことはわかってる。でも僕にとって、とても貴重な経験をさせてもらったのと、どこかでまだ現実に起きた事だと認識できない自分もいる。

 

そもそも会わせてもらえないかもしれない。

 

でも行ってみたい。

 

 

空港に行くまでにも十分すぎるほど時間はあるし。

 

 

よし、行こう。

 

もし会えたら、貴重な話しを聞かせてくれてありがとう。

 

そう伝えれることだけできれば

 

と、自分に都合の良い理由を見つけて会いに行くことにした。

 

 

チェックアウトを済ませ、荷物だけ預かってもらい

 

南京ロードに向けて歩く

 

 

相変わらず朝から人が多い

 

似たようなビルや火鍋屋さんが並んでいたりするので、どの店かと言うのは覚えてなかった。

 

 

結局、ビル街の隙間を抜け裏通りの方に出る。

 

 

あ、確かここやわ。

 

 

昨日の記憶よりかは、ずっとか簡素な裏口

 

 

一瞬合ってるのかどうかわからなかったけど、他のビルを見て回ったけど、似たような入り口のビルはここだけだから、ここなんだろう。それに昨日は感情も昂ってたし、印象なんて違うのも当たり前か。

 

 

エレベーターに乗る。

 

いきなり最上階のボタンは失礼かと思い

 

火鍋屋の階を押す。

 

 

 

エレベーターもこんな狭かったっけ。

裏口用やからこんなもんか。

 

と何かしらにつけて昨日の記憶と違うことを落ち着かせるように

自分に言い聞かせた。

 

 

エレベーターの扉が開く

 

 

 

あれ??

 

 

階を間違えたか?

 

扉が開いた先には、確かに昨日あったはずの火鍋屋がない。

 

確かにまだオープン前の時間帯で薄暗いから違うように思ったのかもしれないけど

 

でもこれは、火鍋屋ではないと言うか全く違う空間。

 

確か昨日はエレベーターを降りて、少しスペースがあってガラスの壁があって、そこにはメニューの写真などが貼ってあって、ガラスの壁の向こうには椅子やテーブルが整然と並べられていた。はず。。

 

 

が、目の前にあるのは

確かに少しスペースがあってガラスの壁もあるんだけれど

 

メニューや椅子や、テーブルがない。

 

 

それもテーブルなんて、ちょっと掃除するから動かそかぁというテーブルじゃなくって

 

鍋を温めるためのIHが仕込まれたガッチリとしたテーブルだったはず。

 

が、跡形もない。

 

 

まだこの時はエレベーターの中から真正面を見ていただけで

 

とりあえず、エレベーターを降りる

 

 

ふっと、人の気配に気づく。

 

 

あ、よかったぁ。

ちょっと安心した。

 

 

昨日見かけた、生意気なボンボンの子供がいた。

 

 

でも、ちょっと雰囲気違うな。

 

なんかもっとだらしなかったよな。

 

デカデカとロゴの描いたT  シャツに短パン、緑色の髪にゲーム、女の子も派手なピンクの髪に、フリフリのなんか着てた。

 

 

でも今日は、髪の色はそうだし、ゲームも持ってるんだけど

 

スーツのようなものをビシッと着こなしてる。

 

 

 

声をかけた。

 

 

つたない英語で

「ハロー、昨日、会ったよね?」

 

その子供達は ?? というような

 

でもやはり侮蔑するような目は変わらずでこちらを見る。

 

 

「だから、その、昨日僕はここに来て君たちを見たよね?、そしておばあさんに会ったんだけど、またあえないかな?」

 

 

子供達はまた、??という表情をする。

 

 

これは演技とか意地悪とかじゃなくって

 

本当に知らない時のアレだ。

 

 

「ソー、昨日、僕はおばあさんに会ったんだけど、その時にお金をたくさん渡された。だから返したい」

 

とポケットから札束を取り出して見せた

 

 

が、一向に ??な表情しかしないので

 

 

ものすごく怖くなってきた。

 

 

なんなんコレ

 

 

 

ほんまに一瞬、一瞬だけ、これドッキリちゃうん?って思った。というか思いたかった。

 

海外っていまだに素人にドッキリ仕掛けたりしてるし。

 

 

いやいやいや、逆にドッキリじゃないとおかしいやん。

 

 

あたりを見回す、隠しカメラとかないかなって。

 

防犯カメラはあるけれど、隠しカメラがあるのかどうかなんて芸能人じゃないからわからない。

 

 

とにかく、来てしまった以上

お金を見せてしまった以上

昨日見た子供達に話しかけてしまった以上

 

 

納得のいく結果がでないと帰ろうにも帰れない。

 

あと、こうなってくると意地でも昨日の老婆に会いたくなってきた。

 

 

「いやだから、僕はおばあさんにあいたいだけ。それが済めば帰るから、だから会わせてほしい、本当にすぐに帰るから」

 

 

 

と子供達に言ってたら

 

 

 

あ、出た!!

 

 

 

昨日の最後に出てきた黒服の男達!!

 

 

昨日はあんなに怖かったし、2度と会いたくもないと思ったけど

 

状況が変わると不思議なもんで、やっと出てきてくれたー!と嬉しくなってしまった。

 

 

子供達が、その黒服の男達に伝えてくれてる。

 

 

男達は僕の方に近づいてきた。

 

 

やっと理解してくれたかぁ

 

 

「帰れ」

 

 

 

え?

 

 

 

 

「ここから出ていけ」

 

 

僕はすかさず「昨日の僕ですよ!、ほら、おばあさんが最上階にいて、会いました。お金をたくさん貰ったから返したい!それだけでいいです。おばあさんにお礼がしたい」

 

とワーっと喋っても、一切顔に感情を表さず

 

 

とにかく「この建物から出ろ」とのこと。

 

 

あかん、こいつらもそうか。

もうこうなったらもう一度、生意気な子供達に懇願する目を向けた。

 

 

が、やはり侮蔑するような目をしただけですぐゲームに戻る

 

 

 

あ、また両肩掴まれた。

 

 

エレベーターに連れてかれる。

 

 

そうそう、こうしてね、最上階に行ってくれるならそれでいいよ。と変な考えを持ってしまった。

 

 

 

しかし押したボタンは上ではなく下であって

 

昇ってくる時は思い出を巡らせながら時間をかけて上がってきたのに

 

フリーホールかのように、あっという間に1階の裏口へ

 

エレベーターから放り投げるように出され、

 

2度と来るなと言い、エレベーターの扉が閉まった。

 

 

 

なんやろ、この感じ。

 

 

もうこの世界が、僕の好奇を感じとって

昨日の老婆のように、

話しを遮るように

 

昨日の世界に戻ることを拒否したんかな。

 

 

あれ?さっききた入口とはまた違う間取り。

 

 

もうなんなんこれ。こわ。

 

 

とりあえず外に出る。

 

 

ビルとビルの隙間から見える向こうは

 

たくさんの人が往来している南京ロードの景色が見えるけど

 

ビルを隔てた、裏路地にいる僕は

 

 

世界から放り投げ出されたパラレルワールドに迷い込んでしまったかのよう。

 

 

幼い頃に見た映画「トワイライトゾーン」が頭をよぎる

 

 

超次元にきてしまった。

 

 

そう思うと寒気がして、なんかわからんけどビルとビルの隙間をダッシュして南京ロードの大通りにでた。

 

昨日までは、鬱陶しいなこの人混みと思ってたけど

 

なんなら肩でもぶつかってくれて、現実と思いたいって願う

 

それほど、あのままあそこにいたら、この世界に戻ってこれへんのちゃうかったんかと今でも思う。

 

 

 

ポケットから20000元を取り出し

 

このまま持って帰ろうかと思ったけど

なんか何かわからないけど変に引き連れてきてしまいそうで

 

すぐに日本円に換金してもらった。

 

 

 

本来なら、老婆にあって帰国するよと挨拶をして

 

またいつの日か上海に来たら会いに来ますと言って

 

いつでも来なさい、なんて言われて

 

 

頂いたお金を返して、自分が払った分だけを貰って

お土産でも買って、良い出会いがあったなぁなんて思いながら帰国してたはず

 

 

それが、こんなん誰が信じてくれるなみたいな

 

怖い土産話しだけできて。実際にはお土産を買う気力すらも残ってなくて

 

空港、飛行機、関空から自宅までどうやって帰ったのかという記憶だけは

いまだに1ミリも思い出せない。

 

 

 

もっと、いろんな情景があったはず

 

もっと話したことがあったはず

 

もっとなんだこれ?みたいな経験だったはず

 

 

それでも、

 

「満州アヘンスクワッド」という漫画のたった1コマで

 

 

11年前の記憶をここまで呼び覚まされたから

 

 

本当にそれだけ驚いたし、妙に嬉しかった。

 

 

だって、あの老婆は居たんだから。

 

 

もちのろんで、こちらの思いなんて

原作者の門馬司さんは全く意図してないだろうし、

作画の鹿子さんも何のこっちゃだろう。

 

 

しかも、フィクションの、それも漫画の登場人物を見て

 

僕が体験した、会った人物を重ね合わせて

実際に居たんだ!なんて思うのも気持ち悪い話しです

 

 

あと、僕は最近の漫画は普段ネットで読むため

 

このブログを書いてる時点では

 

#117 紅幇の犠牲者

 

までしか読んでいないので、

 

 

この後の展開で

 

 

老婆こと 蘭玉は死んでしまうのかもしれない。

 

 

 

そういうのもあって、この先の展開を読むのを躊躇う自分がいる

 

 

もしかしたら既に結末が迎えられてるんかなぁ。

 

 

今回ブログで蘭玉(ランユー)という名前と文字を検索するのに、色々とネタバレみたいなタイトルが出てくるけど絶対に開かないようにした。

 

 

 

それとは別で、漫画自体はものすごく面白いから

 

結局は続きは読むんだろうけど

 

 

なんとまぁ、ブログを始めてから

 

初めて15000文字以上を書いた。

 

 

叶うなら、たくさんの人よりも

原作者、作画者に読んでもらえると嬉しい限りです。。。。